【2026年版】47都道府県のご当地ラーメン案内——旅で食べたい代表の一杯
47都道府県から、旅先で探したい代表的なラーメン・地域麺を1つずつ紹介。札幌味噌、喜多方、藤枝朝ラー、富山ブラック、尾道、徳島、博多豚骨まで、特徴と文化を地域別に整理します。
47都道府県のご当地ラーメン一覧
日本全国には、その土地の気候・歴史・食材が一杯に結晶した「ご当地ラーメン」が点在しています。札幌の味噌、喜多方、博多の豚骨だけでは終わりません。日本ラーメン協会の「日本ご当地ラーメン一覧」には2025年版で185種類が掲載されています。
協会は「地域で広まった実績」「20年以上の歴史」「食文化や社会背景」「応援団体・行政の関与」など7項目を定め、2項目以上に該当し、実際の提供店があることを掲載条件にしています。
本記事は185種類の完全リストではなく、47都道府県から旅の入口になる一杯を1つずつ選んだ案内です。ラーメンとの境界にあるちゃんぽん・冷麺・沖縄そばも、地域の麺文化として注記のうえ掲載します。
都道府県別 一覧表
| 都道府県 | ご当地ラーメン | 系統 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 北海道 | 札幌ラーメン | 味噌 | 太縮れ麺、バターとコーンが乗る濃厚系 |
| 青森県 | 津軽ラーメン | 煮干し醤油 | 煮干しを主役にした醤油スープ。あっさり系と濃厚系がある |
| 岩手県 | 釜石ラーメン | 醤油 | 琥珀色のあっさりスープと細い縮れ麺 |
| 宮城県 | 仙台辛味噌ラーメン | 辛味噌 | 味噌スープに辛味噌を溶かして食べる |
| 秋田県 | 十文字中華そば | 魚介醤油 | 煮干し・焼き干し系の澄んだスープ、細い縮れ麺 |
| 山形県 | 赤湯ラーメン | 辛味噌 | 辛味噌を溶かして食べる、肉そば風 |
| 福島県 | 喜多方ラーメン | 醤油 | 透き通った醤油スープ、平打ち縮れ麺 |
| 茨城県 | スタミナラーメン | 甘辛あんかけ | レバーや野菜の甘辛いあんを載せる。冷やしもある |
| 栃木県 | 佐野ラーメン | 醤油 | 手もみ麺、透き通ったあっさり醤油 |
| 群馬県 | 藤岡ラーメン | 豚骨醤油 | 太麺、背脂の効いた濃厚豚骨醤油 |
| 埼玉県 | スタミナラーメン | 醤油豚骨 | 野菜と背脂のタレが乗る、B級グルメ |
| 千葉県 | 竹岡式ラーメン | 醤油 | チャーシューの煮汁をスープに再用 |
| 東京都 | 東京ラーメン・二郎系 | 醤油/豚骨醤油 | 老舗の澄んだ醤油と、背脂系の二郎系 |
| 神奈川県 | 家系ラーメン | 豚骨醤油 | 豚骨醤油、太く短い麺、ほうれん草と海苔 |
| 新潟県 | 燕背脂ラーメン | 背脂醤油 | 煮干し醤油に背脂、太麺と玉ねぎ |
| 富山県 | 富山ブラック | 醤油 | 黒く塩味の強い醤油スープ、粗挽き胡椒 |
| 石川県 | 八番らーめん | 豚骨醤油 | 金沢発、まろやかな豚骨醤油 |
| 福井県 | 敦賀ラーメン | 豚骨醤油 | 鶏ガラと豚骨のWスープ、細麺 |
| 山梨県 | やまなし源水ラーメン | 鶏出汁 | 甲州地どりと地元源水を使う新ご当地 |
| 長野県 | 王様中華そば | 醤油 | 醤油スープに白ねぎと粗挽き黒胡椒 |
| 岐阜県 | 飛騨高山ラーメン | 醤油 | 干し椎茸やアゴ出汁の深みある一杯 |
| 静岡県 | 藤枝朝ラーメン | 醤油 | 朝に食べるあっさり中華そば。「温」「冷」の2杯文化 |
| 愛知県 | 台湾ラーメン | 辛味噌醤油 | 名古屋「味仙」発祥、辛いひき肉ネギ乗せ |
| 三重県 | 亀山ラーメン | 醤油 | 鶏ガラ醤油、3種のきのこと地元小麦 |
| 滋賀県 | 近江ちゃんぽん | ちゃんぽん | 滋賀発、野菜たっぷりのあっさりちゃんぽん |
| 京都府 | 京都ラーメン | 豚骨醤油 | 真っ黒な醤油スープ、分厚いチャーシュー |
| 大阪府 | 高井田系ラーメン | 醤油 | 濃口醤油スープ、太い丸麺 |
| 兵庫県 | 播州ラーメン | 醤油 | 甘みのある醤油スープ |
| 奈良県 | 天理ラーメン | ピリ辛醤油 | 白菜・豚肉・にらを使うピリ辛スープ |
| 和歌山県 | 和歌山ラーメン | 豚骨醤油 | 早寿司とセットで食べる文化 |
| 鳥取県 | 鳥取牛骨ラーメン | 牛骨 | 牛骨スープ、甘みのある独特の一杯 |
| 島根県 | スサノオラーメン | 味噌 | 出雲発、糀入ブレンド味噌、アゴすり身かまぼこ |
| 岡山県 | 岡山ラーメン | 豚骨醤油 | 背脂の効いた醤油、岡山市内中心 |
| 広島県 | 尾道ラーメン | 鶏・魚介醤油 | 瀬戸内の魚介を合わせた醤油スープに豚の背脂 |
| 山口県 | 宇部ラーメン | 豚骨 | 濃茶色で豚骨の香りが立つスープ |
| 徳島県 | 徳島ラーメン | 豚骨醤油 | 甘辛豚バラと卵、ご飯と一緒に食べる |
| 香川県 | 讃岐ラーメン | 醤油・いりこ | 讃岐うどん文化のいりこ出汁を生かした地域ラーメン |
| 愛媛県 | 八幡浜ちゃんぽん | 鶏ガラ・魚介 | 練り物を載せるあっさりスープの地域麺 |
| 高知県 | 鍋焼きラーメン | 醤油 | 鍋焼きうどん風、土鍋で提供 |
| 福岡県 | 博多ラーメン | 豚骨 | 細ストレート麺、白濁豚骨、替え玉文化 |
| 佐賀県 | 佐賀ラーメン | 豚骨 | 白濁豚骨、久留米系の影響 |
| 長崎県 | 長崎ちゃんぽん | 中華風 | たっぷりの野菜・豚肉・魚介を麺と煮込む地域麺 |
| 熊本県 | 熊本ラーメン | 豚骨 | マー油と焦がしネギ、黒い油が浮く |
| 大分県 | 別府冷麺 | 冷麺 | 焼肉店で供される、和風だしの冷麺 |
| 宮崎県 | 宮崎辛麺 | 辛味スープ | 唐辛子、にんにく、溶き卵。こんにゃく麺を使う店も多い |
| 鹿児島県 | 鹿児島ラーメン | 豚骨 | 豚骨と野菜の出汁、あっさりめ |
| 沖縄県 | 沖縄そば | 豚・鰹出汁 | ソーキ(豚あばら肉)などが乗る、独立した地域麺 |
ご当地ラーメンとは
ご当地ラーメンとは、その土地の気候・歴史・食材・人の気質が一杯に結晶したもの。味から地域が読める、それが本物のご当地ラーメンです。

北海道・東北——寒さと素材が育てた、濃厚系
北海道:札幌味噌だけじゃない3系統
北海道のラーメンは、実は3系統に分かれています。札幌(味噌)、旭川(醤油豚骨のWスープ)、函館(塩)。同一県内でこれだけ系統が分かれるのは、全国でも珍しいです。
北海道3大ラーメン
- 札幌:味噌、太縮れ麺、バターとコーンが乗る濃厚系
- 旭川:豚骨×魚介のWスープ、醤油、背脂が浮く
- 函館:塩、透き通ったスープ、あっさり正統派
旭川ラーメンは、豚骨と魚介のダブルスープを醤油タレで食べるスタイル。発祥の店「蜂屋」を起点に、背脂が浮いた濃厚な一杯が、寒い冬に沁みます。函館の塩は、透き通ったスープにストレート麺が合わさる、あっさり正統派。
東北:煮干し、辛味噌、澄んだ醤油の多様性
東北は一括りにできません。青森・津軽の煮干し、秋田・十文字の澄んだ魚介醤油、山形・赤湯の辛味噌が代表格。中でも福島・喜多方ラーメンは、市内に100軒以上の店がひしめくラーメン都市で、透き通った醤油スープと平打ち縮れ麺が特徴です。
数字で見る「ラーメンの聖地」山形
総務省「家計調査」の2025年結果では、山形市の2人以上世帯における中華そば(外食)の年間支出額は25,102円。4年連続全国1位で、2位の新潟市19,073円を上回りました。これは都道府県全体や店舗密度ではなく、県庁所在地・政令指定都市を対象にした1世帯あたり支出額の比較です。
関東・甲信越——独自の進化を遂げた個性派
東京:和出汁と背脂、2つの顔
東京ラーメンは、「老舗の醤油」と「背脂チャッチャ系」の2系統に大別できます。老舗系は創業昭和以前の澄んだ醤油ラーメン。背脂系は動物系スープに背脂を浮かせたドロドロ濃厚スープで、二郎系ラーメンや店名に「○○家」がつく家系が代表格です。
甲信越:山国ならではのこてり系
山梨の「やまなし源水ラーメン」は甲州地どりと地元の水を使った新ご当地、新潟・燕の背脂ラーメンは煮干し醤油に背脂と太麺を合わせます。長野の「王様中華そば」は白ねぎと粗挽き黒胡椒が特徴。山国だからすべて濃厚、とは限らず、土地ごとに違う背景があります。
東海・北陸——和出汁文化が生んだ、上品な一杯
東海:鶏出汁と手もみ麺の地
愛知・台湾ラーメンは名古屋「味仙」発祥の辛いひき肉ネギ乗せ。岐阜・飛騨高山ラーメンは醤油ベースに干し椎茸やアゴ出汁を使った深みのある一杯。三重・亀山ラーメンは2013年の「ご当地ラーメングランプリ」で優勝した経歴を持ち、鶏ガラ醤油に3種のきのこと地元小麦を組み合わせます。
静岡で外せないのが**藤枝朝ラーメン(朝ラー)**です。1919年創業の「マルナカ」が発祥店として知られ、茶業に携わる人々の早朝の仕事に合わせて朝の食文化が育ちました。あっさりした温かい中華そばの後に、甘口で酢を使わない冷やしを食べる「温・冷」2杯の楽しみ方は、全国でも珍しいものです。
北陸:富山ブラック、福井敦賀の個性派
富山ブラックは、真っ黒な醤油スープにモヤシ・チャーシュー・煮卵が乗る見た目超濃厚系。意外と後味は軽い。福井・敦賀ラーメンは鶏ガラと豚骨のWスープに細麺。北陸は昆布出汁文化が根付いているため、出汁の旨みが際立つ一杯が多いです。
関西・中国・四国——うどん文化圏での独自進化
関西:あっさり和出汁の正統派
京都・新福菜館の真っ黒醤油スープ、和歌山ラーメンの豚骨醤油(早寿司とセットの文化)、兵庫・播州ラーメンの白髪ねぎ。関西はうどん文化の影響で出汁のきいたあっさり系が好まれます。
中国・四国:尾道と徳島、牛骨と鍋焼き
広島・尾道ラーメンは鶏ガラと瀬戸内の魚介を合わせた醤油スープに、豚の背脂を浮かべる一杯。徳島ラーメンは甘辛く煮た豚バラと卵がトッピングされ、ご飯と一緒に食べる文化があります。鳥取は全国的にも珍しい牛骨ラーメン、島根は出雲の「スサノオラーメン」(糀入りブレンド味噌、剣形かまぼこ)、高知は土鍋で供される鍋焼きラーメンです。

九州・沖縄——豚骨文化と島の独自進化
九州:白濁豚骨の聖地、県ごとに味が違う
九州といえば豚骨ですが、県ごとにスープの濃さや麺の太さが全然違います。福岡では久留米を起点に、博多・長浜の細ストレート麺と替え玉文化が発達。熊本ラーメンはマー油などのにんにく香味、鹿児島ラーメンは豚骨と野菜の出汁であっさりめ。長崎ちゃんぽんは中華料理由来の野菜・豚肉・魚介たっぷりの地域麺です。詳しい系譜は豚骨ラーメンの系譜で解説しています。
沖縄:独自の「沖縄そば」との境界線
沖縄の「沖縄そば」は、ラーメンとは別に育った独自の地域麺。豚の出汁と鰹出汁を組み合わせ、ソーキ(豚あばら肉)などを載せます。ラーメン好きにも、ぜひ味わってほしい一杯です。
ご当地ラーメンを楽しむためのヒント
最後に、全国をラーメンで旅するうえで、自分が気をつけているポイントを書きます。
ご当地ラーメンを楽しむヒント
- 系統を先に知る — 伝統的な老舗から選ぶとハズレが減る
- 麺を見る — 太さ・縮れで店主の意図が読める(語彙集参照)
- ご飯ものも頼む — 地域の食文化がスープと対話する
まず、その土地の「本来の系統」を知る
ご当地ラーメンは、変なアレンジ店より、伝統的な系統を守る老舗のほうが、土地の味が伝わります。事前に「この地域は何系統が基本か」を調べて、そこから店を選ぶとハズレが減ります。
麺の太さ・縮れを見る
スープと麺の相性が、その店の真骨頂です。太麺×濃厚スープ、細麺×あっさりスープ、ちじれ麺×脂多めスープ。こういう基本パターンを知っておくと、店主の意図が読めるようになります。
ご飯ものも頼んでみる
ご当地ラーメンには、ご飯もの(チャーハン、半炒飯、おにぎり)がセットで発達しているケースが多いです。スープの余韻とご飯の組み合わせは、地域ごとの食文化が見えて面白い。徳島ラーメンのように「ご飯と一緒に食べる」前提のものもあります。
旅の地図として、ラーメンを使う
ご当地ラーメンを味わうことは、単に美味しいものを食べる以上の意味があります。その土地の気候、歴史、食材、人の気質まで、一杯から読み取れるからです。
地域ごとに、ラーメンに現れる傾向があります。
- 北の寒さが濃厚スープを生み
- 山岳地帯がこってり系を好み
- 海沿いの街が魚介出汁を磨き
- うどん文化圏が和出汁を受け入れる
こういう背景を知ったうえで食べると、同じラーメンでも味わいの深さが変わります。
旅の計画を立てるとき、「どこで何を食べるか」を起点にルートを決めてみてください。ご当地ラーメンを軸にした旅は、観光地巡りとは違う、地に足のついた深い旅になります。旅先で隠れ家を発掘するコツは、隠れ家ラーメン店を見つける方法でも解説しています。